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名古屋の母

韓国で母親とはじめてメールをした。
おれは母親と実家で二人暮らし。
当初韓国から一回東京の家に帰り、それから名古屋に行くつもりだった。
それが韓国滞在が長引き、直接名古屋に行くことになった。
電話すると国際電話が高そうなのでメールでそのことを伝えた。
返ってきた母親のメールにはどうでもいい近況が書いてあり、変な顔文字みたいなものもあって、くすぐったくて虫酸が走った。



7月28日の夕方、名古屋に到着した。
この日から1週間名古屋シネマスコーレで『くそガキの告白』が上映されるからだ。
初の(1週間以上の)地方興行。
でもおれは、とても憂鬱だった。
というのも、前回のブログにも書いたように、いつもの宣伝道具であるサンドイッチ看板を韓国に忘れてしまったからだ。

しかし、そんな憂鬱を名古屋はすぐに吹き飛ばしてくれた。
劇場のボランティアスタッフの方がすぐに看板をつくってくれた。
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劇場の女の子が頭の看板までつくってくれて、フル装備完成。
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こんなものや、
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こんなものまで、
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みんなが歓迎してくれた。
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まだ上映始まってもいないのに。
とっても恵まれていた。
また翌日は看板をつくってくれたスタッフの方々に名古屋のチラシ配りの名所を紹介してもらう。
ほんとうに恵まれていた。

上映は18時35分から。務め人には厳しい、ちょっと早めの時間だが、20時10分に上映が終わり、終わってから一杯飲むには逆にちょうどよい時間だった。
劇場の目の前にとても良い飲み屋さんがあり、いつも舞台挨拶&ティーチイン後、数人のお客さんと酒を飲んだ。
自分の映画が毎日上映され、そのあと毎日のようにお客さんと酒が飲める。
なんてことだ。
しかも八割型お客さんにおごってもらった。
おごりはさておき、こんなに楽しいことはない。
昼のチラシ配りは炎天下のなかだったが、そんなことあまり苦ではなかった。
夜には最高の宴が待っているんだ。
日を追うごとに自分のサイクルができてくる。
上映前、劇場近くでお客を呼び込んで、上映中は名古屋めし、そのあと舞台挨拶→ティーチイン、酒。
略して、名古屋めし→酒。

名古屋めし。
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酒。
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名古屋めし。
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酒。
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名古屋めし。
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酒。
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名古屋めし。
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酒。
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楽しいことばかりではない。
悩みはあった。
新宿のときと同じ。
なかなか思うようにお客さんが集まらない。
もっともっとお客さんを呼びたい。
特に名古屋は事前の宣伝ができず、名古屋に来たときから既に上映は始まっていた。
もっともっとお客さんに来て欲しい、映画のことを知って欲しいと毎日チラシをまいた。

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演説

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休

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その効果も少しあって、そして何より、ヒロインの田代さやかさんの地元凱旋舞台挨拶もあり、最終日見事満員御礼!
劇場の雰囲気もすごぶる良く、名古屋は東京よりも大人しい印象があったが最後に最高潮を迎えとても嬉しかった。
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上映後行われた田代さんのサイン会(おれも便乗)も大盛況だった。
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宣伝の反省点はあるけど、でも、最終日、盛り上がって本当に良かった。
上映してくれたシネマスコーレの方々、看板つくってくれたり名古屋を案内してくれたボランティアスタッフの方々、そしてお客さん、みんなありがとう。
改めて映画を劇場で上映する喜び、お客さんと目が合い、笑い合い、握手し、時には酒を飲む喜びを満喫しまくった。ほんとうにありがとうございました。

というわけで、くそガキ初の地方巡業はとっても恵まれてました。

が、じつは、恵まれていたのはこれだけじゃないんだ。
知人の遠山さんの実家に名古屋上映中1週間無料で居候させてもらい、とてもお世話になりっぱなしで、とても居心地がよかったのだ。

遠山さんとはちょっとした飲み会で三回くらい顔を合わせた程度の知り合いだったがフェイスブックでおれのチラシ配りの活動などを見て新宿で一緒にチラシを配ってくれたり、新宿の劇場にたくさん友人知人を呼んでくれたりした。
そんな遠山さんから実家が名古屋にあるから名古屋で1週間上映があるならうちに泊まればいいんじゃないかという提案を受けた。自分が実家に帰ったときに使う離れがあるからそこを使ってください、と言われた。
おれは喜んでその提案を受けた。離れなら気を使う必要もあまりなさそうだ。これで1週間名古屋の上映に立ち会えることができるのでうれしかった。

実際に遠山さんの実家に行ってみると、改築したての家で、離れといっても、中ではきちんとつながっていた。
あたりまえだが、ここは実家。遠山さんのお姉さん、お母さん、お父さん、おばあちゃん、みんなと一緒に暮らす。
1週間も。
やばい。
おれ、人見知りだし、こういうの一番ダメな人なのだ。
ヒゲはボーボー伸び、変な映画のポスターをもってる、変なおっさん。かろうじて韓国で買って来た韓国海苔をおみやげのようにプレゼント。こういうことがほんと苦手で自然に韓国海苔を差し出せたかどうかも自信がない。
そして、当の知人の遠山さんはいない。
みんなはじめましての人ばかり。
こんなんで1週間もつのか、胃がキリキリ鳴り出した。

でもそんな心配もわりとすぐに吹き飛んだ。
まずお姉さんが優しかった。
最初の待ち合わせ、駅からいつもの宣伝スタイルで現れたおれを笑って歓迎してくれた。
駅から家まで少々遠かったが、彼女と歩けば苦にならなかった。
映画にも友人たちと、お母さんと2回も見に来てくれた。
結末に納得していなかったようだが、そんなことを素直に話してくれてうれしかった。
お父さんも優しかった。
お父さんはお父さんなりに不器用に優しい言葉をかけてくれ、たまに駅まで車でおくってくれた。
おばあちゃんも優しくおれを見つめてくれた。

そしてなんてったって、お母さんだ。
朝起きたらいつも朝ご飯ができているし、洗濯もしてもらった。
それが嫌みでない自然な優しさだったからおれはお母さんの息子になったみたいに甘えてしまった。

ある夜。
いつものように遠山家に帰った。
ドアを静かに開け、ただいま帰りました、と小さな声でいった。
お帰りなさい。
奥から自然にお母さんとお姉さんの声がした。
はっ!
となった。
きゅん、とした。
これが家族か!とおもった。
おれはそのままシャワーをあびた。
ちょっとしあわせだった。

ある夜。
お母さんと少し話をした。
お母さんは東京で不安定な仕事(映像やデザイン、アーティストプロデュース)をしている息子(遠山さん)のことを心配していた。普段どんなもの食べてるのかしら、将来どうなるのかしら、と。
おれは息子のフォローをした。大丈夫ですよと、でももっと家に帰ってきてほしいですよね、とかいった。
30すぎてやっと映画撮ったけど、まだまだ不安定でずっと実家にいるおれが言えたことではなかった。
遠山さんのお母さんと話しているはずが不思議と自分の母親と話している気分になった。

名古屋最終日近く。息子の遠山さんが帰ってきた。
遠山さんがヒロインの田代さやかさんと撮った写真を母親に見せて、ほら、田代さん、かわいいでしょ、と自慢していた。
お母さんもとても柔らかい表情で息子の喜びを受け止めていた。

そういえば、上映最終日には地元の田代さんの親も来ていた。
おれの入場パフォーマンスで被ったマスクを投げたらちょうど田代さんのお母さんがキャッチした。
すごい偶然だ。
そして、映画に関するお客さんからの質疑応答のコーナーで、田代さんのお母さんが皆の前で田代さんに、「こんどはいつ(名古屋に)帰ってくるの?」と聞いていた。
映画館はこの日一番の笑いに包まれた。


そんなこんなであっという間に名古屋の1週間がすぎた。
韓国でも名古屋でも、次回作次回作次回作次回作とみんなに言われる。
また新しい映画をもって絶対帰ってきたい。


8月3日。おれと遠山さんは遠山家をあとにした。
遠山家のみなさん、本当にありがとうございました。
最後に家の前で皆で写真を撮ったけど、ここにのせるのはやめよう。
お母さんはとても照れ屋だからこんなところに写真をのせられたらきっと困ってしまう。
自分だけの宝物にします。

そして帰り際、遠山さんはお母さんに、体に気をつけて、と声をかけた。
とても自然に。
そんな言葉、おれは母親に言ったことがない。
何十回も何百回も母親に言われたことはあるのに、おれは母親にその言葉を言ったことがないのだ。

その帰り道。
なんとなく母親のメールを読み返した。
虫酸は走らなかった。


そしておれは、大阪、京都に向かった。
大阪で9月末からお世話になる第七藝術劇場さんと軽く打ち合わせし、
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この映画の恩師小林政広監督のご好意で、シネリーブル梅田で上映中の『ギリギリの女たち』の舞台挨拶にお邪魔し、
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そのまま京都みなみ会館でオールナイトイベントで『くそガキの告白』関西プレミア上映に立ち会いトークショーもした。
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そのあと大阪、京都を少々観光した。

天下一品、総本店。★★★
総本店

二条駅前店。★★★★
二条駅前店

難波ウインズ前店。★★★★★
灘波ウインズ前店



そしておれは、ほぼ20日ぶりに家に帰った。

家の前ではいつもように母親が植木に水をあげていた。
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Comments

うわー 
なんだか涙がでますね。。。
鈴木さんも周りの皆さんも素敵過ぎます(T_T)

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プロフィール

鈴木太一(すずきたいち)
1976年6月16日生まれ。
東京都江戸川区出身。
映画「くそガキの告白」監督脚本。

鈴木太一のTwitter
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