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小岩物語

7月4日、深夜0時すぎ。
テアトル新宿5日目の上映を終えたおれは、いつものように映画の看板を手に持って最寄りの小岩駅近くの道を歩いていた。
ふとアイスが食べたいとおもい、普段ほとんど立ち寄らないコンビニに寄った。

コンビニ店内で一人の女性とすれちがった。
きっちりとしたビジネススーツを着ている、いかにもOL風の女性。
彼女はカップヌードルシーフード味のBIGを胸に大事そうに抱えていた。
その姿がなんだかとても微笑ましくて印象に残った。

そのあと、アイスを買ってコンビニの外で食べていると突然声をかけられた。
「あのー」
顔を見る。手元の袋にはシーフードのBIG。さっきの女性だ。
「(看板を指して)この映画知ってます、この前新宿でこの看板持ってる人に会いました」
「ああ…」
「なんか、その人、私は監督です、みたいなもの頭につけて」
おれはカバンから頭につける看板をだして装着した。
「あああ、そうそう、これこれ!」
彼女はものすごく嬉しそうに笑い、友達に電話をかけはじめた。
留守電になり、今おれにあったことをいろいろ話している。
2週間ほど前、彼女はその友達と新宿バルト9で映画を観に行った時、頭と胸に看板をつけてチラシを配るおれと遭遇したようだ。
その時、彼女は看板のインパクト等に驚いて気にはなったけどチラシは受け取らなかったという。

おれはここで改めて彼女にチラシを渡す。
少し感動した。
あのとき新宿で受け取ってもらえなかったチラシを今こうやって、何日か経って、地元小岩で受け取ってもらえた。
嬉しかった。
そして看板フル装備のおれと写真を撮ったあと、彼女はシーフードと一緒に買っていたアイスモナカを食べ、さらに「ラーメン食べにいきましょう」という。
どうやら彼女はかなりのラーメン好きのようだ。
おれもラーメンが好きだ。地元のラーメン屋の話をしながらおれと彼女は彼女の行きつけのラーメン屋に向かった。

そのラーメン屋は10年ほど前によく行っていたラーメン屋だった。
とても懐かしかった。
彼女と向かい合って席についた。
彼女とここに来ている事がとても不思議だった。
もう腹がいっぱいだったので、ビールだけ飲んだ。
彼女はいつもは味噌カレーラーメンだけど、今日は塩ラーメンに挑戦してみるという。
もともとシーフドラーメンを食べるつもりだったからだろう。
ちょっとかわいいなっておもった。
そのあと、映画の話をした。
「なんで映画監督になりたいっておもったんですか?」
「んー、むかしっからの…」
『くそガキの告白』のワンシーンにそっくりな会話だった。
やがてラーメンがきた。
彼女は長い髪をゆわき、ラーメンを食べるモードになった。
猫舌らしく、なかなか麺を食べられない。
かわいいなっておもった。
だいたい、さっきはじめてあった女性と、こんなに面と向かってラーメンを食べたことなんてない。
しかもこっちはラーメンを食べずビールだけだから基本前を向いている。
目のやり場に困った。
ラーメンを食べる彼女を時折見ていると本当にラーメンが好きそうだ。
「おばちゃん、塩もいけるよ!」
きっぷもいい。

彼女はOLで、会社の寮がこの近くにあるという。
OLっていいこともあるけど、嫌なことばっかり。毎日毎日同じことのくりかえし。
おばちゃんになってもこの仕事やってたくない。
彼女はそんな愚痴をこぼす。
さらに彼女は今日合コン帰りだという。相手は超有名大学のお医者さんたち。とても楽しかったようだ。
ケッ、医者と合コンかよって普段だったら腹が立っただろうが不思議とあまり腹は立たなかった。
自分のことも話した。
医者と真逆の経済事情を正直に話した。
そしたら、「OLって、お金持ってるんだよ」と、彼女はビールをおごってくれた。

帰り道。
おれみたいな怖くて気持ち悪そうな顔の男によく話かけたね、と言ったら、彼女はおれの顔より何よりくそガキの看板が気になっていたようだ。
話しかけてくれて嬉しかったと伝えた。
「おれ、こんな顔してるから、見かけでずっと判断されてきた。新宿とか渋谷とかで警察によく職質されるしさ」
「私も見かけで判断されて遊んでるとか思われるの。私けっこう真面目なんだよ」
お互い、小さな告白をした。


そして彼女とは別れた。
近いうちに友達と一緒に映画を見に来てくれるようだ。
「がんばってね」と彼女は去って行った。
少しだけ、その後ろ姿をみていた。

彼女のこころに映画が届きますように。
同じことの繰り返しな毎日が嫌になっている彼女のこころに、
見かけだけで判断されることに怒ってる彼女のこころに、
少しでも映画が届き、刺さり、明日を生きる力になりますように。


これは、恋とかロマンスの話ではない。
一人の名もなきOLと、一人の名もなきチラシ配りの、ちっぽけな絆の話だ。


今日もまた新宿にチラシを配りに行こう。


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★テアトル新宿では連日連夜上映後トークイベント開催中!

7/5(木) 田代さやかさん、今井りかさん、鈴木コング太一
7/6(金) 吉田浩太監督、小林憲史(くそガキの告白プロデューサー)、鈴木コング太一

★7/7(土) オールナイトイベント開催!
くそガキの告白上映、太陽族アコースティックミニライブ、今野浩喜さん(キングオブコメディ)、田代さやかさん、辻岡正人さん、鈴木コング太一監督が映画の裏話などをたっぷりトーク。秘蔵映像作品も上映予定。サイン入りポスター、メイキングDVDももれなくプレゼント。
詳しくは、ここ

★2週目もトークイベント開催模索中

★リピーター割引 1000円!
半券提示でくそガキの告白が1000円で観れます。
一度見て面白かった方は二回目いかがですか? お友達や気になるあの子を誘って劇場にカムバック!

★3週目、7/14(土)〜 モーニングショーの時間が、10時20分〜に変更になります。
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プロフィール

鈴木太一(すずきたいち)
1976年6月16日生まれ。
東京都江戸川区出身。
映画「くそガキの告白」監督脚本。

鈴木太一のTwitter
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